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少しずつ読んでいった一冊目の日記はここで終わっていた。
十二月二十四日。
クリスマスイブ。
リュクレーヌがマスカになってしまった事件の前日だ。
「ここまでが……ファントムに乗っ取られる前の日記か」
という事は、ルーナエがファントムに乗っ取られるまでの日記という事になる。
「リュクレーヌ……大丈夫?」
途中、フランは何度もリュクレーヌの心中を気遣っていた。
弟に嫉妬の感情を向けられて、黒魔術に手を染めてしまった事をどう思うだろう。
自分のせいでという自責の念に囚われていないだろうか。
と途中日記を閉じるたびにフランはリュクレーヌの様子を伺っていた。
「無理は駄目だよ」と言って、震えながらページを捲るのを止めた事もあった。
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