11.ビーバームーン

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◆   十二月二十六日 「あれ程に、兄さんになりたいと願っていたのだろう?」 ファントムはそう訊く。 五月蠅い。 黙ってくれ。 僕はとんでもない過ちを犯してしまった。 ごめんなさい。 兄さん。 本当にごめんなさい。   十二月三十日 何もやりたいことがない。   一月二十一日 ファントムに躰を奪われても自我がある時は有るものだ。   二月六日 ファントムが僕に提案する。 「マスカをもっとたくさん作ろう」 と。 やるものか。 人殺しの機械を量産するって事だろ。 断っておいた。   二月八日 両親が殺された。 食堂で、ディナーを摂っている間に兄と同じように毒を盛ったのだろう。 ファントムが、僕の躰を使って。 このままじゃまずい。 これ以上犠牲者を出すわけにはいかない。 僕は慌てて、警察に電話したが、ノスクルム邸?資産家?と意味の分からない事を返された。 まるで、僕の方が意味の分からない事を言っているように。
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