106人が本棚に入れています
本棚に追加
/743ページ
◆
十二月二十六日
「あれ程に、兄さんになりたいと願っていたのだろう?」
ファントムはそう訊く。
五月蠅い。
黙ってくれ。
僕はとんでもない過ちを犯してしまった。
ごめんなさい。
兄さん。
本当にごめんなさい。
十二月三十日
何もやりたいことがない。
一月二十一日
ファントムに躰を奪われても自我がある時は有るものだ。
二月六日
ファントムが僕に提案する。
「マスカをもっとたくさん作ろう」
と。
やるものか。
人殺しの機械を量産するって事だろ。
断っておいた。
二月八日
両親が殺された。
食堂で、ディナーを摂っている間に兄と同じように毒を盛ったのだろう。
ファントムが、僕の躰を使って。
このままじゃまずい。
これ以上犠牲者を出すわけにはいかない。
僕は慌てて、警察に電話したが、ノスクルム邸?資産家?と意味の分からない事を返された。
まるで、僕の方が意味の分からない事を言っているように。
最初のコメントを投稿しよう!