11.ビーバームーン

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  二月九日 ファントムは 「これ以上事を大きくすると今度は友達とかこの街の人全員殺さないといけなくなる」 と言った。 「出来る訳ないだろう」と僕が言うと 「それがね、僕には出来るんだ。殺したうえに周りの人間の記憶を消す方法」 と答えた。 そうして、自分が今まで潰してきた集落の話だとかをしてきた。 ハッタリかと思ったが、確かにその集落はもう今は人のいない場所だった。 僕は逆らう事が出来なくなった。 そう言えばその集落には一人だけ生存者が居た。 その人は魔術師らしい。 ファントムに、その人の事を詳しく教えてもらった。 どうやら今はロンドンにいるらしい。   四月十六日 せめて、マスカを倒す方法を同時に考えなければ。 僕が調べていてもファントムは何も言ってこない。 止めもしない。 これも策の内なのか。 おかしい。 怖い。 けど、助けてなんて言う資格は僕にない。   八月十五日 マスカを倒す方法を編み出した。 無理矢理乖離をする方法だ。 マスカは仮面を付けると魂が抜ける。 その方法を応用する。 仮面を武器に模して、乖離をさせればいい。 思ったよりも単純だった。 と言うより、マスカと言うシステムの穴だ。 でも、どこかすごく嫌な予感がした。 それでも、今はこの方法しかない。 僕は以前、ファントムが言っていた魔術師の人に手紙を書いた。 手紙には、ファントムと言う悪魔が魔術を使って殺戮兵器を作ろうとしている事。 その兵器を壊すための方法を書いた。 幸い、僕もファントムに躰を乗っ取られたために魔術が使える。 専門用語を織り交ぜたら信憑性も上がるだろう。 例え悪戯だと思われても、どうか。 お願いします。  
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