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二冊目の日記を閉じる。
パタンと小さな音だけが響いた後、リュクレーヌは小さく息を吸う。
「なんだか、壮絶だったな……」
まるで、一編の小説を読んでいるような気分だ。
リュクレーヌがマスカとなり拘束されている間、そしてフランの父がマスカにされて家族を殺されるまでのルーナエの生活。
両親を殺したのはやはりファントムだった。
ルーナエの躰を乗っ取るためには邪魔な存在だったのかもしれない。
ファントムの言う、魔術師は恐らくブラーチの事だろう。
対マスカ用の武器を作りアマラの礎を築いたのはルーナエだった。
そして、ルーナエの手紙はブラーチへと送られた。
「僕のこの銃は、呪われているの……?」
フランが銃を取り出しながら呟く。
ルーナエが銃を作った理由。
乖離前のマスカを乖離させ、被害を抑える役割がある。
それだけではない。
魔術がかかっていた。
リュクレーヌの為に、自身の魂を留め、不変のものとする。不老不死になった原因はこの魔術が原因だろう。
「呪いじゃないよ。まじないだ」
ルーナエ本人はそれを呪いと言ったが、リュクレーヌにとっては死なないためのまじないだ。
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