11.ビーバームーン

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◆   二冊目の日記を閉じる。 パタンと小さな音だけが響いた後、リュクレーヌは小さく息を吸う。 「なんだか、壮絶だったな……」 まるで、一編の小説を読んでいるような気分だ。 リュクレーヌがマスカとなり拘束されている間、そしてフランの父がマスカにされて家族を殺されるまでのルーナエの生活。 両親を殺したのはやはりファントムだった。 ルーナエの躰を乗っ取るためには邪魔な存在だったのかもしれない。 ファントムの言う、魔術師は恐らくブラーチの事だろう。 対マスカ用の武器を作りアマラの礎を築いたのはルーナエだった。 そして、ルーナエの手紙はブラーチへと送られた。 「僕のこの銃は、呪われているの……?」 フランが銃を取り出しながら呟く。 ルーナエが銃を作った理由。 乖離前のマスカを乖離させ、被害を抑える役割がある。 それだけではない。 魔術がかかっていた。 リュクレーヌの為に、自身の魂を留め、不変のものとする。不老不死になった原因はこの魔術が原因だろう。 「呪いじゃないよ。まじないだ」 ルーナエ本人はそれを呪いと言ったが、リュクレーヌにとっては死なないためのまじないだ。
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