11.ビーバームーン

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「さっきも言っただろう。この子は巻き込まれただけだ。もう、解放してあげたいんだよ。最後にはファントムと戦うんだ。ただの人間なんてあっけなく殺されてしまう。だから兄さんを不死身にしたんだ!」 フランがやるべき仕事は本来不死身のリュクレーヌに出来た事である。 そして、これから戦う相手はファントムだ。人間であれば命を落とす危険性が非常に高い。 人の命など、まるで地面を這う蟻を踏み潰すのと同じくらい、簡単に奪ってしまう事が出来る悪魔だ。 思わずフランは沈黙してしまう。 リュクレーヌも同様に黙り、腕を組んだまま何やら考え込んでいた。 「……フラン。銃を渡せ」 ようやく口を開いたリュクレーヌが命じたのは、銃の返却だ。 本来、これは自分が使うべきものだったという事を知ったリュクレーヌは、これ以上フランを巻き込めないと考えた。 「何を言っているんだよ!僕は巻き込まれたなんて思った事は無い!」 「お前じゃなくても大丈夫なら、不死身の俺が一人で戦った方が良いだろう! 」 「どうして!今までと同じで──」 「お前を死なせるわけにはいかないんだよ!」
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