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ましてや、命を落とす危険性があるのだとしたら、それこそ、もうフランをこの件からは解放してやりたいと思っていた。
不死身であるリュクレーヌであれば、自分なら、落とす命などないと分かっているから。
対立するリュクレーヌとフラン。お互いに譲れない意思でぶつかる。
「もう一つだけ、手は有る」
そんな二人に折衷案をとルーナエは人差し指を立てて、提案する。
「え?」
「君たちが共にファントム闘う方法だよ。至って単純だ。フラン。君が兄さんと同じ、不死身のマスカになればいい」
ルーナエの提案は単純なものだった。フランにも不死身になってもらう。
つまり、どうしてもファントムと戦うというのであれば、リュクレーヌに任せる予定だった役割をフランにやってもらうというものだ。
だとすれば、ファントムにも太刀打ちできるだろう。そう、ルーナエは踏んでいた。
それを聞いた瞬間リュクレーヌの目がカッと見開いて、表情が歪む。
「なっ……」
「僕が、マスカに?」
「そう、君が兄さんと同じように不死身になればファントムとも戦えるだろう」
「駄目だ!絶対に!そんな事」
リュクレーヌは必死で制止する。フランを自分と同じ不死身のマスカにするなんて絶対にあってはならないと。
死にたくても死ねない辛さ、地獄を味わうのは、弟がマスカを作るきっかけを与えてしまった自分だけでいい。
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