106人が本棚に入れています
本棚に追加
/743ページ
無関係のフランをこれ以上巻き込み、十字架を背負わせるような真似など言語道断。
一方、フランはと言うと俯いたまま何やら考えている。リュクレーヌの声は届いていないように。
「フラン。ここにあの時兄さんが使ったものと同じ仮面がある。これを使えば君は不死身だ」
ルーナエが懐から仮面を出す。この仮面は通常の売り物と違う、特別製だ。
通常の仮面であれば、自分自身に憑依する事は不可能。
しかし、リュクレーヌが使ったものと同じものであれば、まだ自分に憑依する事が出来る。
ルーナエは当時の仮面を持っていた。これさえあれば、フランはリュクレーヌと同じ不死身のマスカになる事が出来る。
それでも、当のフランはぼんやりとしたままだ。
「くそっ!」
「あっ!」
そんなフランの隙を見計らって、リュクレーヌはスチームパンク銃を奪った。
あとはもう、自分だけで片付ける。そう、宣言するように。
こうすれば、フランがマスカになる必要はないし、もうこれ以上彼を巻き込むことも無くなるはずだった。
「銃は俺が受け取った。これでもうフランは自由──」
「ありがとう。兄さん」
ルーナエはリュクレーヌに礼を言うと、即座にフランの腹部を殴った。
最初のコメントを投稿しよう!