11.ビーバームーン

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「うっ!?」 ルーナエの拳がフランのみぞおちに入り、フランは倒れこんでしまう。 「なっ!」 「でも、どうしてもフランはマスカにしなければならないんだ……」 そう言って、ルーナエは、リュクレーヌが駆けつける間もなく、フランを抱え事務所から立ち去った。 「追わなきゃ!」 クレアが事務所を出る。 だが、事務所の外へ出た瞬間彼女は驚愕した。 「そんな、二人が……消えている?」 居るはずのルーナエとフランが居ない。慎重に辺りを見回しても何処にもいない。あの速さで一瞬のうちに消えるなど絶対にありえない。 クレアは目を見張った。その時だった。 「おい、クレア!こっちも大変だ!」 「えっ!?」 事務所の方からブラーチが声をかける。 もしかして、事務所の中に居るのだろうか。クレアは事務所に戻った。 ところが、そこにはフランとルーナエはいない。 スチームパンク銃がぽつんと床に置かれているだけだった。 いや、おかしい、居るべきはずの人が居ない。 「リュクレーヌも消えた!一瞬、目を離した隙に!」 「何ですって!?」 あの一瞬のうちにリュクレーヌまで行方不明と来たものだ。 さっきまで事務所で話し合いをしていたルーナエ、フラン、リュクレーヌの三人が瞬く間に消え去った。 一体、全員何処へ行ったのか。 床に空しく置かれたスチームパンク銃だけがその行方を知っている──
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