12.コールドムーン

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「ブラーチさんは悪くないよ。ファントムに手を読まれていたのがまずかった」 「え?」 「ブラーチさんの魔術のルーツについて考えれば簡単さ。あの人はね、ファントムの血が流れている。僕みたいにファントムと契約した人間を親に持っているんだよ。本人は知らなかったみたいだけどね」 「なっ!?じゃあ、ブラーチは裏切ったのか!?」 「いいや、そうじゃない。ブラーチさんは何も知らないんだ。ただ、ファントムはブラーチさんの術を知っている。つまり、ファントムはブラーチさんの術に対してはある程度対策が出来る。今回はファントムだと悟られないように、掻い潜ったんだろうね。それに、あの人の『魔酔』が二度目は効かなかっただろう」 ブラーチがファントムの魔術を読み取ろうとした時に、ファントムもまた、術を使ってブラーチの術をかいくぐったという訳だ。 「それに、あの人の周りで大量殺人事件が起きていたのはそういう事なんだよ。ファントムはマスカ開発の為に大量の死体を欲した。そこで自分の血が流れているブラーチさんの周りの人間を殺していたんだよ。」 「そんな……事を」 ファントムはブラーチの事を知っていた。 だからこそ、テレーノ教の事件の際、知っていた上に「調べるまでもない」と彼は言ったのだ。 実の子供が、迫害に遭っている原因はファントムであった。
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