12.コールドムーン

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それをかわいそうに思ったのか──いや、そうじゃない、殺してもいい人間たちという大義名分を得たと思い、ファントムは村人やブラーチに関わる者を殺してきた。 マスカ開発の実験体を手に入れるために。 「そして、周りの記憶を操作した。ブラーチの記憶を変えなかったのは、魔術を使えなかったら困ると思ったからだね」 「そうだ……お前はブラーチにアマラの武器の作り方を手紙で教えただろう?どうしてファントムはそれを止めなかった?」 リュクレーヌの頭に疑問が浮かぶ。 何故、ファントムは苦労して作ったマスカを壊す方法など、みすみす見逃したのだろう。 躰を乗っ取っていたのであれば、止める事など容易であっただろう。 「それはね。マスカが人間を滅ぼしたらまずいからなんだ。マスカと人間が均衡した世界をファントムは求めている」 「あ……ファントムは人間の魂を主食にしている。人間が絶滅したら食べる魂が無くなってしまう」 「そういう事。だから、ファントムは人間側に武器を与える事を特に気に留めなかった」 人間が全滅してしまったらファントムが食べる魂が無くなってしまう。
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