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ルーナエは申し訳なさそうに視線を地面の方へと向けた。そして、哀しく呟いた。
「正に、呪いだよ。『マスカレイドラビリンス』は」
「呪いって……」
リュクレーヌも神妙な面持ちで呟く。
「フランを心配するなら、あまりうかうかはしてられない」
ところが、ルーナエはフランと言う人物名を聞いて思い出したように、話を切り替えた。
「彼は今、ファントムに攫われて、魂を狙われている」
「魂を?」
「ファントムを倒せるのは銃の所有者であるフランだけ……正確にはフランの魂だけだ」
「なっ……!?」
「あの銃で撃たれたマスカは魂と肉体を引きはがされる。乖離を強制的にされるって事だね。兄さんみたいに自分に憑依しているマスカだと逆に魂を永遠に肉体に閉じ込められる。つまり、僕に躰に憑依しているファントムは──」
「乖離される」
リュクレーヌは目を見開いて言った。フランの銃でファントムの魂を乖離する事が出来る。
「そう。その上で、僕が『マスカレイドラビリンス』を発動するとどうなるか。ファントムの魂には撃たれた時点でマスカレイドラビリンスの呪いがかかっているから、ここへ呼び出せる。つまり、フランがファントムを撃てば全て終わりなんだ」
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