12.コールドムーン

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「自分の気持ちにすら、気づかなくて……兄さんを傷つけた。ごめんなさい。本当にごめんなさい」 「分かった。もういいよ。それが分かっただけでいい」 泣きじゃくるルーナエをあやす様に、リュクレーヌは頭を撫でる。 あれだけの事件を起こされたのだ。 憎まれていると思っていた。 だが、それは結局憧れであった。 その気持ちにルーナエ自身がもっと早く気づけたなら、こんな事件は起きなかったかもしれない。 それでも、今はただ、ルーナエの本心が聞けた。 それだけでリュクレーヌには十分だった。 「俺も、お前みたいになりたいって思ったから。大嫌いな勉強も、頑張れたんだよ」 「えっ?」 ルーナエが顔を上げた途端、リュクレーヌは崖の方へと駆け出す。 「じゃあな!絶対にフラン見つけて、ここにファントム連れてきてやるからな!」 潔い啖呵を切って、リュクレーヌは崖の下へと落ちて行った。 迷宮を後にして、現実世界へと帰っていった。  
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