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◆
──あれから、何時間眠ったのだろう。
一体何があったのだろう。たしか、事務所にルーナエさんが来て、
それで、マスカになってと頼まれて、断ろうとしたら、確か──
ぼんやりと考えていたはずの意識が覚醒する。
フランの瞳が開けられる。
目の前には、リュクレーヌとよく似た顔の、ルーナエが安心したような表情を見せていた。
「あぁ、フラン目を覚ましたかい?」
「ルーナエさん?ここ……どこ?真っ暗だ」
ルーナエから視線を逸らして辺りを見回す。
しかし、周りには何もない。真っ暗な空間だった。
場所を質しても、ルーナエは人差し指を唇の前に持って来て、秘密だというジェスチャーをする。
「それを教えるのは後だよ。話の続きをしよう」
「話って……僕をマスカにするって事?」
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