12.コールドムーン

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「そう。手荒な真似をしてすまないと思っている」 そうだ、確かルーナエは自分を無理やり攫ったんだ。 フランの記憶がようやく鮮明なものになる。 思い出した途端不信感が募る。 顔を顰めると、それを察したルーナエはフランの両肩を掴んだ。 「けど、君をどうしてもマスカにしなければならないんだ!あの銃を使う者として、最強の戦力であってほしい」 「最強の……」 「兄さんは不死身の怪物だ。けど今の君はただの人間だ。いずれ死ぬ。じゃあ、不死身のマスカになれば?そうすれば未来永劫兄さんと最強のバディで居られる。ファントムなんてひとたまりもないね!」 断言するようにルーナエはフランに訴えかけた。 確かに、不死身のバディは現状よりも戦力アップになるだろう。 フランにも容易に想像が出来た。 だが、渋るように俯き、視線を地へと落とした。 「……でも、僕は、別にマスカには」 「まだそんな事を言うのかい?じゃあハッキリ言ってあげる。今の君じゃあ、兄さんの足手まといなんだよ」 「え……?」 突然、説得の言葉から、ナイフのように鋭利な言葉が投げつけられる。 思わずフランも視線を上げ、ルーナエの方を見た。 彼の視線は、軽蔑するような、見下すような冷ややかなものだった。
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