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「だってそうだろう?兄さんは死なないんだよ?死なないファントムに太刀打ちできるのは死なない兄さんだけじゃないか。あの銃は兄さんが使うべきだったのに……」
「そんな!」
銃を渡したのはルーナエじゃないかという思いの中、反論をしようとするが、ルーナエは「待て」と言うように手のひらを目の前に出す。
「いいかい、兄さんは僕の為に戦っている。君の為ではない。僕の魂をファントムから救う。それが兄さんの目的だ」
「それは……そう、だけど」
「ちょっと待っていて」
ルーナエは立ち上がり歩き出す。
二、三歩程前進すると闇の中へと姿が消えた。
暫くして、再び闇の中から何処からともなくルーナエは現れた。
宝物がたくさん入っているような、箱を抱きかかえて。
箱から一つ一つ丁寧に中身を取り出す。
チェスや、トランプ、人形などの玩具だ。あの宝箱は玩具箱だったのかとフランも理解した。
取り出した中身をルーナエはフランに見せびらかす様にした。
「ほら、これは兄さんと遊んだチェス。結局一度も勝てなかったんだ。こっちは誕生日にもらったぬいぐるみ」
「はぁ……」
「僕はね、兄さんにとって特別だったんだ。だから兄さんはわざわざ自分の人生を捨ててまで僕を守ろうとした」
ルーナエが言っている事は事実だ。
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