12.コールドムーン

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◆ 音声を一通り聞いたリュクレーヌは機会を懐に戻した。 コートは着たまま、帽子を被り、玄関の方へと向かう。 無言のまま、せかせかとした動作を見せるリュクレーヌにブラーチは「おい」と声をかけた。 すると譫言のようにリュクレーヌは 「フランの居場所はあそこか……」 と呟いた。 「分かったのか!?」 「あぁ、驚くほど単純にな」 クレアとブラーチは驚愕した。 何処に手掛かりがあったのか二人にはさっぱり分からない。 だが、リュクレーヌは確信していた、フランの居場所を。 分かったのであれば早速迎えに行く。リュクレーヌはドアノブに手をかけて、事務所を出ようとしていた。 「ちょっと行ってくるよ」 ドアを開けて外の世界に出る。 だが、目の前にはリュクレーヌを阻むようにマスカの軍団が待ち構えていた。 「!?」 「マスカが!」 「ちっ……」 恐らく、ファントムによる妨害だろう。 リュクレーヌがフランの居場所を探り当てた場合の保険だった。 ファントムも用意周到だ。リュクレーヌは舌打ちをする。 そんなリュクレーヌの横をひゅっと鋭い風が通り過ぎた。 視線を上げ、マスカの方を向くと、クレアが機関銃で応戦していた。 背後からブラーチも術を唱え、マスカに対してダメージを与えている。
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