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ただ、フランは悪口を言っているだけじゃなかった。
「けど、それは僕が僕で僕として傍に居なきゃならないことでしょ?ルーナエさんになる必要は無いというか、むしろ逆効果のような気がする」
自分の意思。自分が自分としてやらなければならない事だと言う。弟ルーナエでなく、助手フラン・コンセルタとしてリュクレーヌの傍にいる事こそが、フランの望みだった。
「それに、僕には僕の戦う理由がある。マスカに囚われた魂を救うっていうね。これはマスカになっちゃったら出来なくなるでしょ?」
そもそも、マスカになってしまったらアマラとしての資格を失ってしまう。
それだけはフランにとってあってはならなかった。
フランには、アマラとして最後までマスカに立ち向かわなければならない。
その義務を放棄するなど、できない。
ルーナエの方を見て自身の意思と想いを強く、断言する。その強すぎる瞳に今度はルーナエが少しだけたじろいだ。
「わ、分かったよ……マスカになる気は無いんだね。そうか……」
ルーナエが視線を逸らす。
するとフランは「あぁ、そうだもう一つ」とまだ言いたいことがあるように付け足そうとしていた。
「こんな事をさ、ルーナエさんが提案する訳ないんだよね。僕をアマラで居させたくない奴のする事にしか思えない」
「……」
「ねぇ?ルーナエさん……いや、ファントム!」
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