12.コールドムーン

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正体なんて隠しても無駄だと言うように、フランは人差し指をルーナエ──いや、ファントムの方へと差し、断言した。 まるで、リュクレーヌがマスカを見破った時の動作と同じように。 ファントムは、やれやれと首を横に振ると、深いため息をついた。 ゆっくりとした動作の後、俯いたまま、ファントムの瞳だけがぎょろりとフランの方へと向く。 「気づいていたの?」 「勿論。その上で乗ったんだよ」 フランはニヤリと笑いながら言う。 これはフランの作戦だった。ファントムに弾丸を当てればいいだけの戦闘をする上でなら周りに人数が少ない方が圧倒的に楽だ。 とは言え、肝心のスチームパンク銃は手元に無いが。 ファントムは謎に余裕綽々なフランを見て、嫌悪感を覚えたのか、もう一度ため息を吐き出した。 「……バレたなら仕方ないね。まぁいいや。キミをこのままここに閉じ込めておけばいい」 一度両手を合わせ、パンと言う音を立て、その後両手を広がる。 そもそもここがどこか分からない。無限に広がる闇。手掛かりなど何もなかった。 それでも、それでもきっと── 「……リュクレーヌが絶対に来てくれる」 確信していた。
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