12.コールドムーン

26/44

106人が本棚に入れています
本棚に追加
/743ページ
「はは……はははは!すごいねぇ!」 ファントムはリュクレーヌの推理を絶賛した。 ──この期に及んでそんな余裕があるのか? リュクレーヌはスチームパンク銃を勿論持って来ている。銃で撃たれたら終わりなのに。 「でも、君たちの魂胆は分かっている。僕を撃とうとしているんだろ?じゃあ僕は撃たれなければいいだけだ」 だが、ファントムの方も馬鹿ではない。 躰を乗っ取っているルーナエの意図を知らないはずがない。 あのスチームパンク銃に撃たれた者がどうなるかくらいは知っていた。 「くそ……やっぱりルーナエの考えはバレていたか」 「どうせ、君たちは死ぬ。断言するよ。さぁ、かかっておいで」 ファントムが、くい、と挑発すうように手招きをする。 どちらが死んでも終わりが来る。 最期の死闘が始まった。   照準が定まらない。 いや、いつも通り戦えているはずだ。 それなのに── 「ほらほら!どうしたの!撃つのが怖い?」 標的の逃げる速度が速すぎる。せっかく合わせた照準もすぐにブレる。
/743ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加