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距離を詰めても、すぐに逃げられる。リュクレーヌが捕えようとしても逃げられる。
「くそっ!当たらない!」
「ボクは弾丸を避けるだけでいいからね、とても楽だ」
ファントムは嘲笑うように空中を踊りながら舞う。口笛を吹きながらステップを踏んでしまうくらいには余裕を見せつける。
「余裕があるから、少しだけお話しようか、ボクがなぜマスカを作ったのか」
ニヤニヤと笑いながらファントム喋り出す。
隙が出来たと思って、フランが引き金を引くも、弾丸は呆気なくファントムに掴まれる。
例え銃弾を放っても、ファントムはそれを掴むのであれば、もはや彼を撃つことなど不可能ではないか。
フランは絶望した。その表情をファントムが確認すると、またニヤリと嬉しそうに笑う。
「君たちのお察しの通り、ボクは人間の魂を食べている。生きるためには仕方ない事なんだ」
生きるためには食事をしなければならない。
誰かしらの命を頂かなければならない。動物や植物を食べる人間と同じだ。
それはファントム──悪魔も同じことであった。
食べるものが人間の魂である。食物連鎖の頂点に悪魔が立っている。それだけだ。
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