12.コールドムーン

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「何?」 「リュクレーヌ。キミはルーナエの為にボクと戦っていたみたいだけどね、彼の魂はとっくに僕に食べられているんだよ。フランに銃を託した直後にね」 フランとリュクレーヌの顔がみるみる青ざめる。 ルーナエはとっくの昔に、死んでいた? それなら今までの戦いは── 「つまり、キミのやってきたことは意味が無かったんだよ!」 ファントムはリュクレーヌを指さしてげらげらと腹を抱えて笑い出す。 リュクレーヌは暫く呆然と立ち尽くし、その場にがくりと膝をついた。 「リュクレーヌ!」 慌ててフランがリュクレーヌの元に駆けつける。 自分の戦っていた意味を否定された。 ファントムに捕らえられていたルーナエの魂を救い出すのがリュクレーヌの目的だった。 ただ、その魂はとっくの昔に食らいつくされていた。 この事をファントムが明かさなかったのはルーナエの躰を人質にするためであった。 それに、マスカレイドラビリンスで会ったルーナエは自身の魂をバックアップだと言っていた。 だとしたら、全て辻褄が合う。ルーナエは死んでいたという事実に。 全てが分かって顔を上げた先にはフランの顔があった。 「……フラン」 リュクレーヌはぼんやりとフランを見つめる。 そして、そのまま耳元に顔を近づけ、ぽそりと何かを呟いた。 「……!」
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