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「何?」
「リュクレーヌ。キミはルーナエの為にボクと戦っていたみたいだけどね、彼の魂はとっくに僕に食べられているんだよ。フランに銃を託した直後にね」
フランとリュクレーヌの顔がみるみる青ざめる。
ルーナエはとっくの昔に、死んでいた?
それなら今までの戦いは──
「つまり、キミのやってきたことは意味が無かったんだよ!」
ファントムはリュクレーヌを指さしてげらげらと腹を抱えて笑い出す。
リュクレーヌは暫く呆然と立ち尽くし、その場にがくりと膝をついた。
「リュクレーヌ!」
慌ててフランがリュクレーヌの元に駆けつける。
自分の戦っていた意味を否定された。
ファントムに捕らえられていたルーナエの魂を救い出すのがリュクレーヌの目的だった。
ただ、その魂はとっくの昔に食らいつくされていた。
この事をファントムが明かさなかったのはルーナエの躰を人質にするためであった。
それに、マスカレイドラビリンスで会ったルーナエは自身の魂をバックアップだと言っていた。
だとしたら、全て辻褄が合う。ルーナエは死んでいたという事実に。
全てが分かって顔を上げた先にはフランの顔があった。
「……フラン」
リュクレーヌはぼんやりとフランを見つめる。
そして、そのまま耳元に顔を近づけ、ぽそりと何かを呟いた。
「……!」
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