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◆
ザク、ザク、と踏みしめる音がする。
真冬なのに、温かい。胸から腹にかけて、温もりを感じる。
「ん……」
フランはゆっくりと瞼を開く。ぼんやりとした視界の中には、一面、ロイヤルブルーが広がる。
もう少し、視界がはっきりした時にようやく、目の前に広がっているのがリュクレーヌの背中であると気づいた。
「お、気づいたか」
「あれ?僕……」
フランはリュクレーヌに背負われながら帰路へと着いていたようだ。
いつの間に眠っていたのだろう。記憶が曖昧だった。
「どうやら魔力の使い過ぎでお前、寝ちゃってたんだよ」
「ごめん……すぐ降りる」
このままでは申し訳ないとフランは下りて自分の脚で歩こうとする。
「あぁ、良いって。かなり疲れたんだろ?」
しかし、フランの体を気づかって、リュクレーヌはそのままで良いという。
幸い辺りには誰も居ない。大の大人がおんぶされるところを見られるなどという心配もない。
そのまま、お言葉に甘えてフランは背負われた状態でいた。
真冬の深夜の凍てついた空気が頬を撫でる中、人肌だけが温かい。
中身は機械でも、リュクレーヌからは人間の温かみを感じた。
「……本当はさ、気づいていたよ。ルーナエが死んでいた事」
「えっ?」
「元々、薄々感づいていた。フランが連れ去られた後、俺はマスカレイドラビリンスに呼び出されたんだ。そこにルーナエが居た。バックアップって言葉でアイツの本当の魂はもうどこにもないんだなって、分かったよ」
自分の救おうとした魂は無かった。それはリュクレーヌに分かっていたという。
「今はもう、そのバックアップも無くなってしまったみたいだけどな」
「……」
フランは黙り込む。
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