12.コールドムーン

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どういう事だ、ブラーチからリュクレーヌの事がマスカの記憶ごと綺麗に消えている。 「どうしたの?」 隣の部屋からクレアが出てきた。そうだ、彼女に訊こう。とフランはクレアの名前を呼ぶ。 「クレア、リュクレーヌを知らないかい?」 「え?だあれそれ?」 クレアも全く同じ反応だった。 「そんな……」 よろよろとした足取りでフランは病院を後にする。二人は怪訝な表情でフランを見た。   その後手あたり次第、知り合いにリュクレーヌの事を聞いてみた。 しかし、ラルファもアドミラも皆、マスカの記憶が無かった。勿論、リュクレーヌの事も。 「皆、リュクレーヌを忘れている?どうして、どうして……」 どうして自分だけが覚えているのか、謎であった。 「リュクレーヌ……」 そして、リュクレーヌの行方など見当もつかなかった。  
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