106人が本棚に入れています
本棚に追加
/743ページ
どういう事だ、ブラーチからリュクレーヌの事がマスカの記憶ごと綺麗に消えている。
「どうしたの?」
隣の部屋からクレアが出てきた。そうだ、彼女に訊こう。とフランはクレアの名前を呼ぶ。
「クレア、リュクレーヌを知らないかい?」
「え?だあれそれ?」
クレアも全く同じ反応だった。
「そんな……」
よろよろとした足取りでフランは病院を後にする。二人は怪訝な表情でフランを見た。
その後手あたり次第、知り合いにリュクレーヌの事を聞いてみた。
しかし、ラルファもアドミラも皆、マスカの記憶が無かった。勿論、リュクレーヌの事も。
「皆、リュクレーヌを忘れている?どうして、どうして……」
どうして自分だけが覚えているのか、謎であった。
「リュクレーヌ……」
そして、リュクレーヌの行方など見当もつかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!