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エピローグ~ブルームーン~
それから百年以上が経った。
リュクレーヌは各国をぐるぐると回りながら、人間に紛れ生活していた。
ある冬の日、ニューヨークにて宿に泊まろうとした。
コートに付いた雪を払いながら、チェックインをしようとフロントへと向かう。
フロントで名前を書いていると、ホテルマンが、「おや?」と声をかける。
「お客さんの名前……」
「あぁ、珍しい名前でしょ」
リュクレーヌは笑って見せる。
自分の付けたリュクレーヌという偽名だ。
そういるものではない。
すると、ホテルマンは首を横に振り、一冊の本を取り出した。
「そうじゃなくて、この本の主人公と同じだなぁと思ったんだ」
「本?」
リュクレーヌは差し出された本を受け取り表紙に書かれた題名を眺める。
「マスカレイドラビリンス……」
それどころでは無い。
作者がフラン・コンセルタなのである。これは偶然か?
リュクレーヌは本をまじまじと眺める。
「いやぁ、すごい偶然だねぇ。この本の主人公もリュクレーヌって言うんですよ」
「すいません!この本ってどこで?」
「あぁ、元はイギリスで発行されたみたいでね、親戚に買ってもらったんだよ。この辺りでは売ってないもんでね」
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