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──ルーナエの奴、とんでもないことしやがったな
正にマスカレイドラビリンスはまじないであった。
リュクレーヌがフランを、フランがリュクレーヌを忘れないための。
呆然とするリュクレーヌを眺めながらフランは「そう言えば」と切り出す。
「僕、結局リュクレーヌに約束果たしてもらってないんだよね」
「約束?」
「酷い!忘れたの?全部終わったら旅行に連れて行ってくれるって言ったじゃん!」
「……あぁ!そんな事もあったなぁ!」
船旅の時に確かそんな約束もした。多分。
おぼろげな記憶の中リュクレーヌは何とか思い出す。
本当に覚えているのか怪しいなとフランはリュクレーヌをじとっと見た。
「はぁ……だいたい、ちゃんと仕事している?それに食事だって……部屋の片づけとかも」
つらつらと小言を言われる。リュクレーヌは耳を塞ぎながら背を向けた。
「……こんな小言を言われるなら再会なんて」
「さっき、作者の顔が見てみたいって言ったのは誰?」
フランは聞き逃さなかった。
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