エピローグ~ブルームーン~

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──あぁ、もう、敵わないな。 そう思いながら、リュクレーヌは再びフランの方を向いた。 「あはは、会えてよかったよ。フラン」 再会を喜ぶとびきりの笑顔を向けて。 フランも嬉しくなりつられて笑う。すると何かを思い出したように両手を叩いた。 「そうだ!僕これからバイトなんだ。洋食屋でね。良かったらリュクレーヌ食べにおいでよ」 どうやら相変わらず料理が好きらしい。久しぶりのフランの料理。 想像しただけでリュクレーヌは腹の虫が鳴きそうだった。 「いいのか?久しぶりだな」 「とびきり美味しい物作ってあげる。あっ、そうだオムライスにしよう!」 「オムライス?なんでまた」 フランの提案に首を傾げる。ふわふわとろとろの黄色い卵がケチャップライスの上に乗ったアレ。 わざわざ献立をチョイスした理由をリュクレーヌは問う。 「だってさ、満月によく似ているでしょ?」 フランは天に輝くブルームーンを指さした。 なるほど、黄色くて丸い。 リュクレーヌを形容するようなモチーフの食べ物でもある。 なんだか、そこまで考えてくれたのが照れくさかったのかリュクレーヌは「そうだな」と笑った。 そうと決まれば二人は洋食屋に向かう。 月明かりに照らされ、この二人の影が伸びるのは約百年ぶり。 そう言えば、ブルームーンを見ると幸せが訪れると言うらしい。縁起物だ。 百年以上の時を経て、二人の魂が再会できたのは、夜空に浮かぶ青い月のおかげかもしれない。
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