11.ビーバームーン

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丁度いい、と提案してみる。 すると、リュクレーヌも一瞬ためらったが、フランのベッドに近づいて、鞄から一冊の本を取り出した。 「じゃあ、これを読もう。悪魔の腸」 それをフランに見せびらかした後、ページを捲る。 ただ、この本は黒魔術の本だ。人間の言葉が出てこない部分もある。 「読めないところはどうするの?」 「読めないところを先にピックアップしておくんだよ。ブラーチに訊く時、楽だろ」 「あぁ、そういう事か!」 予習という訳だ。ブラーチが無駄を嫌う性格なのをよく知っている故に、先回りをしておく。 一ページずつ、丁寧に読み込む。 挿絵はルーナエの部屋で見たものと同じように、どれもおどろおどろしく、不気味だ。 まるでホラー小説の挿絵なのではないかと疑う程だ。生々しい骸骨や、血肉など、死体が苦手なフランは目を逸らしたくなるような内容だ。 一方、リュクレーヌは頷きながら、時折「なるほど」と独り言を言いながら徐々にペースを上げ、読み進めた。 「ねぇ、リュクレーヌ。何が書いているの?」 捲られるページのスピードに付いて行けなくなったフランはリュクレーヌに解説を求めた。 リュクレーヌは一度本を閉じて、表紙をパンと叩いた。
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