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丁度いい、と提案してみる。
すると、リュクレーヌも一瞬ためらったが、フランのベッドに近づいて、鞄から一冊の本を取り出した。
「じゃあ、これを読もう。悪魔の腸」
それをフランに見せびらかした後、ページを捲る。
ただ、この本は黒魔術の本だ。人間の言葉が出てこない部分もある。
「読めないところはどうするの?」
「読めないところを先にピックアップしておくんだよ。ブラーチに訊く時、楽だろ」
「あぁ、そういう事か!」
予習という訳だ。ブラーチが無駄を嫌う性格なのをよく知っている故に、先回りをしておく。
一ページずつ、丁寧に読み込む。
挿絵はルーナエの部屋で見たものと同じように、どれもおどろおどろしく、不気味だ。
まるでホラー小説の挿絵なのではないかと疑う程だ。生々しい骸骨や、血肉など、死体が苦手なフランは目を逸らしたくなるような内容だ。
一方、リュクレーヌは頷きながら、時折「なるほど」と独り言を言いながら徐々にペースを上げ、読み進めた。
「ねぇ、リュクレーヌ。何が書いているの?」
捲られるページのスピードに付いて行けなくなったフランはリュクレーヌに解説を求めた。
リュクレーヌは一度本を閉じて、表紙をパンと叩いた。
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