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五月三日
母さんから、兄さんに勉強を教えるように言われた。
確かに、それは効率的だろう。
僕は兄さんの家庭教師となった。
いざ教えてみると兄さんは頭自体、特段悪くないという事が分かった。
ただ、強制されることが嫌いなんだ。
勉強しろと命令されるのをひどく嫌っていた。
だから、僕は「兄さん、一緒に勉強しようよ」と遊びに誘うように声をかけた。
ただ、その集中力も長くは続かない。
すぐに「友達と遊びに行く!」とか、「チェスしようぜ」とか言ってしまうんだ。
いったい、どうすればいいんだろう。
五月五日
いい方法を思いついた。
「この問題をね、チェスの駒だと思えばいいんだよ」
兄さんは「チェス?」と聞き返す。
何を言っているんだと言うように。
「うん、この問題はそうだね、少し難しいからビジョップだ。それで最後の一番難しい応用問題がキング。こいつを倒せば兄さんの勝ちだよ!」
僕は発破をかけるように兄さんに言う。
「ルーナエ、お前!天才か!?」
あぁ、良かった、兄さんが単純で。
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