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五月二十八日
今日は学校がお休みだった。
兄さんが僕の部屋に来た。
きっとまたチェスやトランプのお誘いだろうと思っていた。
兄さんは僕の部屋をきょろきょろと見まわすと頬を掻いてこう言った。
「なぁ、ルーナエ。本を貸してくれない?」
「えっ?」
僕は思わず声を裏返す。
ゲームの誘いじゃなくて、本を貸してくれと言うもので大層驚いたのだ。
でも、兄さんと同じ趣味を増やせるのならそれはそれで楽しそうだと思ったから貸すことにした。
いきなり難しい本を貸すのも、興味をそがれるだろうと思って、僕は比較的、読みやすい本を手渡した。
「うん、いいよ。これなんかどうかな?易しくて読みやすいよ」
「おっ、ありがとな!すぐ読むよ!」
兄さんは嬉しそうに本を受け取ると、上機嫌で自分の部屋に戻っていった。
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