106人が本棚に入れています
本棚に追加
/743ページ
七月三日
兄さんが読むために新しい本が欲しい。
そうだ、兄さんを少し驚かせるために少し怖い本にしよう。
兄さんが悪いんだ。
ちょうど、本屋さんで『黒魔術大全』という本を見かけた。
これにしよう。
七月四日
しかし、兄さんは次の本を貸してくれとは中々言わない。
仕方が無いから、『黒魔術大全』は僕が読むことにした。
「ん?なんだこれ?」
本文に目を引かれるものがあった。
「願いを叶える悪魔を呼び出すおまじない」
子供の悪戯かと思えば、鏡の前で魔方陣を書いたり、呪文を唱えたりするものだった。
この呪文は人間の言葉で書かれていますという脚注まで付いていた。
願いを叶える。
その一言が嫌に魅力的で、僕はその方法をだめもとで試してみることにした。
七月五日
すごい事が起こってしまった。
部屋の鏡に悪魔を呼び起こすことが出来た。
悪魔の名前はファントムと言うらしい。
僕の願いを一つ叶えてくれるみたい。
僕は咄嗟に願いを呟いた。
「兄さんに、なりたいんだ」
と。
僕たちは友達になった。
そう言えば、僕にとっては、初めての友達かもしれないなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!