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しかしながら、分からないところもまだまだある。
例えば、ファントムが殺した人物の記憶だ。
リュクレーヌの両親が殺された事を、ルーナエ以外の誰も気づかなかったうえに、両親の記憶を関係者から消すことが出来るというファントムの発言。
それどころか、この能力は他の集落にも既に使っているという。
ファントムは魔術を使って記憶を操作しているのか?
なぜ、ファントムがブラーチの事を知っている?
なぜ、ファントムはルーナエが対マスカ用の武器を作る事を止めなかった?
そして、一番の謎、迷宮を作るとはどういう事だろうか?
挙げるとキリがない。やはり、ルーナエ──ファントムを探すしかないのだろうか。
「それにしても、読むのにかなり時間かかっちゃったね」
状況を整理するために、また謎を洗い出すために少しずつ読んでいった。
魔術の本を全てブラーチに託してしまったので途中調べ物を出来なくて困った面もあった。
結局全てを整理するのに五日ほどかかった。
ブラーチの方も学術書の解析も佳境に差し掛かっているところだろう。
「まだ、分からないところも沢山ある。後はブラーチの返事と照らし合わせながら……だな」
「ルーナエさん、ファントムの監視下で大変だったのに、よく日記に残したよね」
「あぁ。有難い限りだな」
「一冊の本を読んでいる感覚だったよ」
「それは光栄だな」
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