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「……本当に、ルーナエなんだな」
「あぁ。そうだよ。兄さん」
「……何しに来たんだよ」
リュクレーヌはルーナエに用件を聞いた。
ロンドンの街を滅亡させる勢いでマスカが侵攻しているこのタイミングで、ファントムに躰を乗っ取られた弟が自分の目の前に居る。
その理由が分からない。一体何のつもりなんだと。
すると、ルーナエはローテーブルの上に山積みになった日記帳に視線を移した。
「その日記を読んだみたいだね」
「あぁ」
「これを読んだという事は、もう分かっているね。僕の話の続きをするって事」
「続き?」
「ここにも書いてあるように、フランが持っているこのスチームパンク銃は本来、兄さんに使わせる予定だったんだ」
ルーナエは日記を手に取って言う。
「でも、あの時は緊急事態だった。フランに託さざるを得なかった。そして、兄さんを撃ってもらって不死身にするように命じた」
「フランに『次に自分に会った時は殺せ』と言って銃を託したのは、俺を殺すのが目的ではなかったって事だよな」
「そうだよ。本当なら兄さんにこの銃を使ってマスカやファントムと戦ってもらうはずだったんだ。フランの役割は兄さんを撃つところで終わる予定だったんだ」
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