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この世にマスカと人間をちょうどいい比率で置く事で、ファントムは人間の魂を永久機関のように食べ続けようとしていたのだ。
「ところが、ロンドン中にマスカの事実が知れ渡ってしまった。人間はマスカを悪用した。こうなればロンドンの街を潰すしかない。ファントムが総攻撃をしかけたのはそういう事だね」
共存と言うものは難しいものだ。
マスカの存在を知ってしまった人間を生かしておくわけにはいかない。自分の目的を探られないためにも。
ファントムはロンドンの街を潰し、人間の記憶からも消し、無かったことにしようとした。
「ただ、ファントムとしてもイレギュラーな武器があった。それがこれさ」
これと言いながら、ルーナエは両手を広げ、真っ暗な天を仰ぐ。
リュクレーヌはその大きなジェスチャーに「これ?」と顔を顰めた。
「マスカレイドラビリンスだよ。まぁ、フランのスチームパンク銃だね。僕が作った」
「これが、ファントムにとっての脅威だという事か?」
「その通り。この空間を見た時に兄さんは『ファントムの胃の中』と言ったね。そう思うのも無理ない。『悪魔の胃』を僕が模して作った空間なんだ」
「でも、どうして悪魔の胃なんて作ったんだ?」
「当然、ファントムを倒すためだよ」
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