12.コールドムーン

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この爪が皮膚を貫けば、フランの命は無いだろう。 ルーナエという人質が居なくなったのであれば新たな人質を作ればいい。人間の命は儚い。 それ故に価値がある。だからこそファントムにとっては取引の道具に持ってこいであった。 「……っ!フラン」 「くっ……そ、リュクレーヌ!僕の事は良い!銃を渡したら駄目だ!」 暫し、リュクレーヌは歯ぎしりをして悩む。銃を渡してしまえば、もうファントムを倒す術が無くなってしまう。 「ほらほら?どうするの?あ、それとも助手の事はどうでもいい?」 ファントムが煽りながらフランの皮膚に爪を立てる。 フランは「ひっ」と小さな悲鳴を漏らした。金色の髪にうっすらと紅の血がにじむ。 「待て!」 見ていられない。リュクレーヌは制止した。 そのまま手に握っていた銃を見せる。
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