エピローグ~ブルームーン~

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「えぇ!いい作品です。最後は少し悲しいですけどね」 「俺も読んだよ」 「本当ですか!」 少年は目を輝かせながら喜んだ。 海外の古い本だ、友人に同じ趣味の者が居ないのだろう。 「でも、本物のリュクレーヌはもっと二枚目だろ」 「……そうですね、リュクレーヌは帽子や靴で身長盛っていたり」 「そうそう」 「十二月分の、最後のお給料残さずに出て行っちゃったし」 「そうだな」 「フランが生きている間に一度も会いに来てくれなかったし」 「全くだ……作者の顔が見てみた……ん?」 ようやくリュクレーヌは気づく。 少年が語っているリュクレーヌは、この世でフランしか知りえない情報であるという事を。 リュクレーヌは目を見開き少年の方を見る。 ──お前はフランか? と問うように。
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