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Episode00:プロローグ
西暦20XX年――。
国の威信をかけた政策が失敗したことから、国内外の過激派組織が暴動を起こすようになる。
だが、この国ではどんな犯罪者に対しても、人道的な慈悲を与えることを優先とされていた。
被害者の無念より、今生きている犯罪者の権利を守る。
そんな馬鹿げた道理を尊い行いだとされていた。
そのため、裁判の判決もテロの実行犯たちは無期懲役になったところで、五年もすれば娑婆に戻ることができた。
どこの刑務所もテロ犯罪者で溢れかえっており、ちょっとお行儀良くしていれば簡単に出所の手続きが行われていたからだ。
それはテロ犯罪者をさらに増長されることにつながり、とある大規模なテロ事件が引き起こされる結果へとつながった。
――また同時に、テロ犯罪者に対する国民全員の怒りが生まれたきっかけにもなる。
国民はテロ犯罪者への極刑を渇望し始めた。
そしてテロ撲滅を訴えるために、各地国民が団結を組み立ちあがったのだ。
国内のあちこちで武装した国民たちはテロ集団のアジトを襲撃し、テロリストを死に至らしめるほどのリンチをし始めた。
犯行を行った者を警察が捕えようとしても、国民の誰一人として仲間を売ることもなく口をつむいだ。
また、捕らえようとすれば周りの者たちが集団でそれを阻む。
そして最終的には国会議事堂へ国民が押し寄せ、意味のない平和主義を掲げていた政治家たちは追い立てられていった。
『国民を守らない政治家は、この国にはいらない』
国民が望むのはテロリストを排除し、平和な国に戻ること。
あの悲しい事件を教訓とし、みなが再び安寧のある生活を送りたい。
――ただ、それだけだった。
政府は各国に配慮しつつも断腸の思いで法改正をし、テロから国民を守るために警察の権限を大きく改革した。
テロリストは威嚇発砲なしで、射殺してもよい。
テロに対する特殊部隊を結成することなど、他にも様々な対策を打ち出していった。
尚且つ、再び悲劇を繰り返さないために要人警護の特殊護衛部門創設も検討されることとなった。
しかし国民が立ちあがろうと、いたちごっこのようにテロ行為は止むことがなかった。
暴動に次ぐ暴動で国の手も金も回らなくなり、特殊護衛部門創設はとん挫していたが、有名企業たちがこぞって出資をし、政府からの委託機関として私的護衛部門として創設されることとなった。
私的護衛部門は必要な人員は政府がそろえ、人員の給与や建物や機材などは出資金で賄われ、要人警護のプロフェッショナルの育成が行われたのだ。
この私的護衛――名称を【プライベート・エスコート】という。
プライベート・エスコートは、要人を害する影響を排除するのに相手の息の根を止める事も許可されている。
そんな人の命を扱うプライベート・エスコートに為るためには、身体的な資格や法務の資格など様々な資格が必要とされていた。
また過酷な任務ゆえにその道に進む者は少なく、その資格を持つ者は――現在、約三百人にも満たない言われている―――――。
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