骨の髄まで、

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―――――――― ―――――――――――― 「真宮寺さん、 いる?」 昼休み。 私に来客がありました。 来客者さまは、 1つ上の、男の先輩。 委員会で時々お話を します。 IT企業の跡取り息子さまで、 とても優しくて、 素敵な先輩です。 もちろん、女の子からの 人気は高くて、 私も少し、 いいな、と思っていたり。 「どうされましたか?」 私が教室の扉の前に かけよると、 先輩ははにかみました。 「ちょっと、 話したいことがあって。」 連れてこられたのは、 講堂の裏にあるお庭。 先輩は私の方を 振り返りました。 「ごめんね、 いきなり呼び出して。」 「いいえ。大丈夫です。 どうされたのですか?」 先輩は、そっと 制服のジャケットから 封筒を取り出しました。 「これを、きみに。」 差し出された封筒を 開けてみれば、 本日公演のアイスショーの チケットが。 わぁっ・・・・・・ 「これを、私に?」 「うん。 前話した時、これ 見てみたいって 言ってたよね? もしよければ、 一緒に行きたいなと 思って。」 一緒に… 私の心臓が、とくっと 期待で高鳴りました。 それ、は、 そういうことでしょうか。 「あの、先輩、」 「デート、のつもり だから。 もし、 返事、おっけーなら 今日の7時に噴水広場に 来てくれるかな。」 デート…! 憧れの先輩に、 デートに誘われました! 「はいっ、 わかりました。」 私はニッコリ笑って 頷きます。 今から夜が楽しみ。 どんな服を着て いこうかな、 ああ、ワクワクしちゃう。 「真宮寺さん、 俺、待ってるから。」 先輩はこう言うと、 私の頭をポンと撫でて 去っていきました。 ひゃっ… すごい、大変。 どうしよう。 デートに誘われ ちゃった…!
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