骨の髄まで、

4/14
259人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
朝食は、 メイドや執事に 囲まれて、 いつも1人です。 今朝のメニューは、 フレンチトーストに サラダ、ベーコン、 フレッシュジュース、 それにヨーグルト。 父は、お仕事。 母は、長期の海外旅行。 大学生の兄は、 一人暮らしをしています。 私は朝食を食べ終えると 歯磨きをして、 学校へ行く準備を しました。 「すずお嬢様、 お車の準備ができて おります。」 榊に言われて、 私はいつも通りの時間に 家を出ました。 学校までは車で 送り迎えをしてもらって います。 「お嬢様、 あまりお帰りが遅く なってはいけませんよ。 ご主人様(すずの父)が 心配いたします。」 榊が車の中で、 いつもと同じ注意を してきました。 私は耳にたこ状態。 「もう! 大丈夫だってば。」 「ええ、そうですね、 聡明なすずお嬢様の ことですから、 きっときちんと理解 なさっていらっしゃる とは思うのですが、 お嬢様は忘れっぽいのが たまにキズなので…」 「全然忘れっぽく ないもん!」 ちゃんと言われたことは 守ってるもの。 榊は、ふふっと 浅く笑いました。 「これは失礼いたしました。 すずお嬢様。 忘れっぽいというのは あくまでこの榊の 個人的な見解ですので お気になさらず。」 「撤回はして くれないのねっ、」 ここで車は、学校の 門をくぐりました。 私が通うは、 名門、一条学園。 創立は明治で、 歴史と伝統を重んじる 由緒正しき学校です。 「では、 行ってまいります。」 私が車を降りて 頭を下げると、 榊は、 「お気をつけて。 何かあれば、すぐに ご連絡ください。」 と、声をかけてきました。 榊はちょっぴり 心配性かもしれません。 「おはよう、すずちゃん。」 クラスに行けば、 友達が声をかけてきました。 「みんな、おはよう。」 「ねえ、すずちゃん 聞いた? 生徒会長の 大御門 昴さまが バレエのコンクールで 優勝されたそうよ。」 「わ、すごい、」 うちの学園の生徒会長は、 教員生徒から頭脳、人柄、 気品、すべてにおいて 優秀であると認められた 人でないとなれません。 3年の大御門先輩。 ちらっとお見かけした ことしかない、 雲の上の存在です。 きっと、とてもしっかり した方なのでしょう。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!