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――自分ではどうにもできない厄介事を、次々と引き起こすバカ。
化け物になった姉さんに、言われた言葉が突き刺さる。今まで、あたしがどんなことをしでかしても、姉さんはあたしにあんなことは言わなかった。
憎しみのこもった言葉を、吐きかけたりはしなかった……。
姉さんをあんなにしたのは、あたしだ。
でも、違う。違うんだ。あたしは――、あたしは悪くない……。
たとえそうだとしても、姉さんはもういない。化け物になってしまって、姉さんはもういない。
そして、樟葉は――死んでしまった。あたしに殺された。
姉さんも、樟葉も。
突然、世界が歪んだ。空が、あたしを目掛けて落ちてくる。あたしは理解したんだ。
姉さんも、樟葉もいない。
もう誰もいない。
あたしは独りだ。独りになってしまったんだ。
めまいと吐き気がして、立っていられない。
姉さん。樟葉。二人はもういないんだ。
その事実があたしを打ちのめす。どうしてこんなことに。あたしはどうして?
〝持っていないもののにしか興味がなくて、持っているものを大事にしない〟。ああ、樟葉……。
床に頭を打ち付けたいのを、両手を突いて、あたしは堪えた。よろめく脚を踏みしめて、なんとか立ち上がる。
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