天使のピチュ

1/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

天使のピチュ

僕は天使の仕事をしている。 いつからそうなのか分からないけど、まだまだ駆け出しのようだ。 相棒のピチュは多分 女の子で仕事熱心だ。 この仕事は2人1組で巡回しなければならないルールだから殆ど一緒にいる。 それに僕達の事はここでは見えない存在だけど、でもたまに磨かれた魂を持つ者は見えたり感じたりするらしい。 僕達には恋愛とか欲とか性とか、そう言った概念は一切なくピチュが女の子でしかも子供だというのも話し方とか声がそういう風に聞こえるだけで、はっきり言って僕も男だか女だか大人だか子供だか分からないしどっちでも構わない。 でもどうしてそんな事にこだわるかと言うと、ここでは男女、雄雌の性に分かれていて強い欲を持って生きてるし、その欲が種の継承を促しとりあえず長い間続いて来ているようだ。 ある種は文明とか言う物を手に入れてここを牛耳っていると勘違いしていて大天界一笑われている。 またある種は両性もいるけど希少になってしまっている。 天使って仕事なの?って思うよね…。 れっきとした仕事なんですよ。 僕たち天使の仕事はいつも過酷で本当の幸せを見せたり教えたりして導くのだけれども、幸せの基準はその魂によって違うからそれを気付かせるのはしんどいし解って貰えない事の方が多い。 仕事の対象になるのはここで魂あるもの全てなので大忙しなのだ。 僕達はここで言う魂の事を鈴玉と言い、肉体を実と言ったりする。 鈴玉が実を離れる時、チリンと音を鳴らして合図をすると黒服か白服がやって来て鈴玉を飲み込んで行く。 簡単に言うとそんな風に魂は拾われて次の実に入る準備をする。 僕たちの使う言葉はややこしいからここの言葉で話しようと思う。 僕とピチュは黒服の事が嫌いでいつも睨み合っている。 だって鈴玉が離れようとするちょっと前に現れて寝転んで落ちるのを待っている。その仕事に対する姿勢が許せないからだ。 でも白服は礼儀正しくていつも鈴玉が落ちる前から寄り添っているから僕達も安心出来る。 例えば植物種の多くは僕等の仕事は不要で彼らは幸せの本質を知っている。 ただ自分の種を採られる時はしんどそうだ。 だからそんなの時は僕等も寄り添う。 ただ動物種が面倒でその中でも特に人間種は複雑で厄介だ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!