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「Sちゃん、大丈夫か!」
虚ろなまま遠くの方から男の声がした。
私は体調の悪さよりこんな所で私の名を知ってる男がいる事の方が気になって仕方なかった。
少し気分が良くなり俯いた顔を上げると、そこにはK?が佇んでいた。
私はまだ夢の中にいるのかと思った。
「Sちゃん、顔色が悪いからラウンジで横になる?」
そのK?が私の耳元で囁いた。
私は身体全体に電気が走ったようにゾクゾクと鳥肌が立った。
「ちょっと止めて下さい。
あなたは一体誰なんですか?
どうして私の名前を知っているんですか?」
私は虚ろな意識の中にあっても毅然と尋ねた。
するとK?は自分の唇に指を当てて、
「ここは図書館だから静かにね。」
そう言って微笑んだ。
「絶対に違うと思うんだけどあなたはKさんじゃないですよね?
でも瓜二つでそっくりだし...
ダメだ...
どうしよう...」
私の心臓はハチ切れんばかりの鼓動で張り裂けそうだった。
「Sちゃんってたまに夢見る記憶喪失者みたいな事を言い出すから好きだよ。いつものようにあっちで二人っきりになろうよ。」
Kは虚ろな私の手首を掴み当たり前のように人気の無い薄暗い書籍が積まれた棚の隙間に入って行った。
そして突然私の肩を抱き唇を重ねた。
長過ぎるキスは私の身体に魔法の液を作り熱帯夜のように熱く湿らせた。
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