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ムズムズとした興奮の波は脊骨を走り、立っていられない程に足腰の力を奪った。これほど心地よく幸せな気持ちになったのは初めてだった。
「駄目だよ...
こんなトコで...
人が来るよ。」
私はそう言ったつもりだったけど声にならなかった。
そしていつの間にか頭の先まで突き抜けるような刺激と快感と共に全てを受けいれた。
私はKの首筋に顔を埋めて湧き出る声を塞いだ。
「Kさん好き!
大好きだよ!」
私は心の中で叫び続けていた。
すると...
「Sちゃんみたいな娘に愛されて幸せ者だったよ。
でもこれが最初で最後だね。
Sちゃんも幸せになるんだよ!
じゃあね、バイバイ。」
Kは何事も無かったかのように手を振りながら遠ざかって行った。
私はそんな事が受け入れられる筈も無くKの手を掴もうと必死に追いかけた。
「あっ!」
気が付くと白い天井に手を伸ばしていた。
ベッドで寝ている事に気づくのに少し時間がかかった。
「気付いたわね、大丈夫そうね。
随分うなされていたみたいだけど...」
白衣の女性が薄笑いを浮かべながら馴れ馴れしく言った。
「私...」
「いいの、いいの。
思春期には色々とあるものよ。
それに始まっちゃったのよね。
出血してたみたいだから出来る範囲で処置しといたわ。
でも気を失って倒れた貴方を運んでくれた人達の中にビックリするくらい似てる人がいたわ。
誰だっけ...
名前...
そうそう
タレントのKに。」
私は少しだけ痺れたような痛みのあるお腹に手を当てた。
おしまい
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