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「ねえ、ピチュ。
あの少女は魂が落ちそうだね。
近くに黒服もいるし。」
「うん、どうちようか迷ってる。」
「迷ってる?
あの少女に幸せの本質が分かるかな?」
「分からないと思う。
もちこのままあの子猫を見過ごしたらトラウマにはなるけど命に対する儚さとか残酷さとかの欠片は間違いなく残る。
けど…
子猫を助けようとしてこのまま魂を落としちゃえば次も同じ様な事しちゃうね。
黒服が付いてるって事はそういう事だよ。
考える側じゃなくて見せる側だね。
少女はそれでいいけど、向こうで話し込んでる母親たちがね…
どうかなって…
子猫には白服が付いてるからもう二度と酷い魂の落とし方はしないし...
これからは考える側になるだろうけどね。」
「まあ、よくある光景だからこのまま時間を流そうよ。」
僕はピチュに言った。
ここで起きる魂の事柄は僕達が必ず介在している。
よちよち歩きの親からはぐれた子猫の魂はここではもう落ちるしかない。
でも厄介な人間は様々な感情を駆使してその事柄に対応しようとする。
その少女は道路へ向かう子猫を見つけてどうしようか迷ってる。
母親に知らせても間に合いそうにない。
ここでは数秒の出来事だけど僕達はこの事柄で得る導きがあるかどうか判断し決断しなければいけないので、こう言う場合は時間の流れを物凄くゆっくりと流す事が出来るのだ。
すると少女は子猫に向かって走り出した。
「あ!」
僕は手を胸に当てた。
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