双子ちゃんの夏

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「えっ!何?」 突然だったので私は椅子から立ち上がってしまった。 「茶髪ちゃん、ビックリさせないで!」 思わず唸ってしまうと、 「ねぇ、お願いがあるの。 聞いてくれるよね?」 初めて聞いた茶髪ちゃんの声は顔に似て可愛らしく それでも茶髪ちゃんは何処と無く悲しげだった。 「事と次第によるけど... 言ってみて? 聞いたげる。」 私は面倒くさそうだな、と思いながらも嫌な気はしなかった。 聞くと内容はシンプルだった。 いつからか迷子になり両親を探しているけど見つからない。 だから見つけるのを手伝えって事だった。 やはり予想通り面倒くさいお願いだった。 両親を見つけてあげれば 双子ちゃん達はきっと居なくなって私も気が楽になるだろうと思っては見たが何となく心が締め付けられた。 こんな可愛らしい双子ちゃん達の両親もきっと見つけられなくて途方に暮れているだろうと思い茶髪ちゃんのお願いを受けてあげる事にした。 覚えている事を聞こうとすると2人は苦しそうで疲弊してしまうので、ある程度のところで聞き取りは止めた。 聞いた話によると近くにある大橋のたもとで2人座って両親を待っていた。 どうやらそこで待つ様に言われたらしい。 でもいつになっても両親が迎えに来ないので2人して泣いていた。 すると見知らぬおじさんが2人の頭を撫でながらこの家で待ってれば会えると教えてくれた。 それが私の家でこの部屋だった。
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