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私はその話を聞いて嫌な予感しかなくて気持ちが重く落ち込んだ。
何故なら私が小学生の頃その大橋で酒酔い運転のトラックが前の車と衝突してその車は衝撃で川に落ちてしまった事故を思い出したからだ。
今では建物が立ち並びその大橋は見えないが、その頃は私の部屋からよく見えていてパトカーのサイレンと赤い回転灯が夏の日の熱帯夜の川面を照らし続けていた事を今でも良く覚えている。
私はその事故の顛末を調べに図書館へ行き当時の新聞や雑誌を探し読み漁った。追突され川に沈んでしまった車に乗っていたのは結婚したての若夫婦で引き揚げられた車の中で発見された。
私は図書館からの帰り道 重い体を引きずるようにその大橋を渡った。
橋の途中で見えた夕日は遠くの山々の稜線をピンク色に映し出して何時になく綺麗だった。
お腹に双子ちゃん達が眠っていた事を知らないままこの川に沈んでしまった若い奥さんとご主人に私は話しかけた。
「黒髪くんと茶髪ちゃんが待ってるよ。」
この大橋の袂で待つ2人の幼子達は今夜やっとパパとママに見つけて貰う事が出来ると私は思った。
「今夜も熱帯夜になるね。」
そう呟きながら私は赤く染まった夕日の掛け橋からキラキラと流れる川面をいつまでも見ていた。
追伸
私はこの夢をベースにサララとサラサを書き上げた。
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