Bombey Sapphire

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その客はロックグラスの中身を一息に喉の奥に滑らせてから続けた。 「碧の左の瞳は人間の生まれ持ったものではない それは、人間の創り上げたものであった ある日は栄華に精彩を放ち いずれ衰退して崩落していくようなものであった 今、手を伸ばさなければ 天に昇華してしまいそうな儚さに心惹かれて 私は碧に声をかけた すると、碧は絵画を見上げていたその横顔を 一瞬硬直させてから 髪を揺らしてこちらを見たんだ」
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