Bombey Sapphire

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相槌を打ちながらシェーカーを振る知人を一瞥して その男は続けたそうだ 「それから私たちは少しずつ親密になった 関係が深まる度に一つずつ 私は、碧の体に埋め込まれた 宝石のような酒瓶を知っていった 碧は仕事で使う何本かのジンの酒瓶を手に 表に止めておいたテスラのモデルXに向かった そこに てんかんで意識を失った医師のメルセデスが 突っ込んできたのだ 宙に舞い上がる碧の体 飛び散った40度のアルコール そして色とりどりのガラス片 ガラスの一つは左の瞳に突き刺さり その先端は脳の一部を掠めた ヘルシンキの湖のような 淡く儚い色彩を持たないような水色に 碧の片目に突き刺さった水色に 私は出逢った時から釘付けになった」
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