Bombey Sapphire

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「都内の端にあるマンションの一室 その10階建ての最上階 鍵を開け放したままの玄関のドアノブを捻って扉を開けると 碧と初めて会った時に感じた あのハーブの香りが廊下に流れ出してきた 碧の部屋の中には 無数のハーブが それは明らかに違法なモノも含めて 栽培されていた 棺桶のように見えるベッドの木枠には 土が敷き詰められ、メリメリと育った薬草の寝床で 碧は祈るように手を合わせ 仰向けに目を閉じていた そんな碧の側に歩み寄ると 目を閉じたまま碧が言った 『あれから、一睡もしてないの』」
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