Bombey Sapphire

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「事故にあってから数か月 碧は 一瞬たりとて夢を見る事の 許されない身体になっていたのだ 壁にかかるゴッホの絵画 華やかに咲く活けられた花 流れるスカルラッティのピアノ そして大きなキャンパスが白紙のままで イーゼルに乗せられていた 夢は起きたまま作るものだ といつか碧が言っていたのを 思い出した 酒に浮かされるのを嫌う様な眼差しで 上がり続ける熱に悲しむような顔つきで ジンを口にした碧を 思い出した しかし碧は 限界だったのだ」
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