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「あ、えっと…やっぱり今の忘れて下さい。そろそろ戻りましょ。休憩時間終わっちゃう」
自分から言い出しておいて気恥ずかしくなってきた。
「分かった。考えておくね」
「…はい、ありがとうございます」
矢野課長の素直な反応、なかなか新鮮かも。
「矢野くん、今、手空いてるかな」
「はい、大丈夫です」
午後3時過ぎになって、部長と矢野課長が揃って事務所を出て行った。
「倉重課長が戻るの、早まるみたいね」
と浅井さん。
「そうなの?」と目を丸くした私に、更に浅井さんは目を丸くする。
「てっきり知ってるものだと思ってたわ」
まさか。初耳よ。
「もう決定事項なの?」
「噂レベルの話だからね。でも来週には部長から正式に話があるんじゃないかなとは思うけど」
「…そう」
何だろう、この胸のモヤモヤした感じ。
画面に入力した単語が、変換キーを押しても上手く変換されない。仕方なく入力し直しだ。
少し強めにdeleteキーを叩いた。
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